カツヲぶろぐ

2011年3月の読書

3月は地震があったので月の後半に読書量が落ちてるはずなのでそんなに読んでないと思ってたんですが、数えてみたら14冊、意外と読んでました。月初めの出張~休暇中にけっこう読んでたんだな。

『ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉』 ★★★★★
『ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中)』 ★★★★★
『ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉』 ★★★★★
塩野 七生 (著)
『ローマ人の物語〈21〉危機と克服〈上〉』読了。旅先のヨーロッパの都市を散策中にカフェやレストランで読むのがなんとも言えなく贅沢な気分に。この巻ではダメ皇帝が3人くらい出てきては殺されたりして交代、みたいな。
『ローマ人の物語〈22〉危機と克服(中)』読了。ダメ皇帝の後の内乱を経てヴェスパシアヌス帝の治世になりようやく帝国が再建されていく、みたいな話。しかしローマ帝国の皇帝って中国の皇帝とは全然違ってて、同じ単語を使うべきではないような気が。
『ローマ人の物語〈23〉危機と克服〈下〉』読了。有名なポンペイが火山の噴火で埋まる時期が舞台。ちゃんと仕事したのに暗殺されたり記録抹消刑にされたりで可哀そうな皇帝が主役。でいよいよ次巻からは五賢帝の時代に入ります。

『成金』
堀江 貴文 (著)
ホリエモンの小説『成金』読了。前作『拝金』と同じくスピード感重視でストーリーの核に読み手を集中させるミニマルな構成だが、小説としては前作よりも巧妙になったという印象。
『フェイスブック 若き天才の野望』とはまた別の視点でのベンチャー創業物語としても面白く読める。細部を端折りまくっているので事業内容や文学的なディテールを求める人には向かないが、それは著者も織り込み済みということだろう。
金融用語がちょっとだけ出てくるけど基本読みやすいし、速読とは無縁の僕でも勢いで2時間程度で読めてしまうので、普段あまり本を読まない人にもおススメ。

『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』 ★★★★★
クリス・アンダーソン(著), 小林弘人 (監修), 高橋則明 (翻訳)
乱丁本の交換などで読み始めが遅くなってしまっていた『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』読了。面白い本でした。ちょうど去年の今頃話題になってた本ですね。巻末付録だけでもお金を払う価値あり。
「無料」にまつわる様々な事例が登場するけど、特に音楽の事例がたくさん出てきたのが印象的だった。ここ10年くらいで劇的に変わったからね。音楽自体が変わるんじゃなくて、音楽とお金の関わり方が変わった。そしてこれからも変わり続ける。
音楽を意識的に聴くようになって、趣味でDJやったりして、自分でお金を使ってイベントをやって、お客さんからお金を頂戴して、ということをまがりなりにもやってたわけだけど、音楽がこんなに技術の変化の影響を受けるとは、パーティーを始めた頃には思いもしなかったなぁ。
考えてもみれば、音楽そのものは「情報」で、物理的な「もの」ではないことが根本的な理由かな。つまり本書で言うところの「ビット」であって「アトム」ではない。みたいな気づきがあったので★★★★★

『選択の科学』  ★★★★★
シーナ・アイエンガー (著) , 櫻井 祐子 (翻訳)
『選択の科学』読了。ちょうどこの直前に呼んだ『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』に「希少な資源をめぐる選択の科学」という言葉が出てきたが、たまたま出張の鞄に一緒に入れていたのがこの本。
一般社員よりもストレスの多い社長の寿命は一般社員のそれよりも長い→社長のほうが選択できることが多いから。動物園の動物は野生動物よりも命の危険が少ないのに寿命は短い→選択することが少ないから。みたいなことが帯に書いてあって興味を引かれる。
様々な実験事例から我々が日々迫られる「選択」に関わる発見を説明していく。文章もわかりやすい。どちらかというと心理学の本になるんだろうけど、ビジネス書としてウケそうだし、実際そういう視点から読む僕みたいな人がたくさんいるんだろう。実際ビジネス書としてかなり売れたらしい。
そして僕自身にとってもいろいろ気づきがあった。コロンビア大学ビジネススクール特別講義ということだが、こういう良質な大学の講義内容が本になって誰でも読める時代というのは幸せだなぁと思う。というわけで★★★★★

『ビジネススクールで身につける仮説思考と分析力』
生方 正也 (著)
『ビジネススクールで身につける仮説思考と分析力』読了。時々リマインド用に読むようにしてる問題解決思考系の本。事例の内容に物足りなさもあるけど復習用だしこんなものかな。

『曹操残夢―魏の曹一族』 ★★★★
陳 舜臣 (著)
『曹操残夢―魏の曹一族』読了。曹操が死んでから魏が司馬家に乗っ取られて滅亡するまでの物語。曹叡以降の皇帝の話はなんだか切なくなるなぁ。権力ってなんだろうと考えさせられる一冊だった。
三国志の後半、特に関羽が死んで以降は英雄たちがどんどん退場していくので、もともと寂しさを帯びてるし、僕はゲームでも前半のシナリオしかプレイしなかったりなんだけど、この作品はけっこう集中して読めた。
あと周辺国への目配りも相変わらずで、邪馬台国も登場したり、呉が人口不足を補うために日本に人狩りに来る話も出てきたりして面白い。というわけで★★★★

『諸葛孔明〈上〉』 ★★★★
『諸葛孔明〈下〉』 ★★★★
陳 舜臣 (著)
地震の件で頭いっぱいになっててつぶやいてなかったけど、『諸葛孔明〈上〉』読了。先週末にニュースとか遮断して読んでた。解説を読んでから知ったけど諸葛孔明関係の小説としてはこれが日本で最初のものになるらしい。
上巻は孔明の誕生から赤壁の戦いまで。『曹操』でもそうだけど情報戦にかなり焦点があてられてる。孔明の情報源は仏教徒の集団という筋書きで、これまた周辺の文化をストーリーに取り入れる著者ならでは。
言われてみれば「インテリジェンス」という言葉には「諜報」という意味もあるもんな。と納得しながら下巻へ続く。
続けて『諸葛孔明〈下〉』読了。合理的に考えたら曹操に仕えてさっさと天下統一したほうが平和には最短距離だと思うけど、本作では曹操に仕官しなかった理由は結局のところ徐州大虐殺の記憶。
あと劉備からは息子がアホだったら君が代わりにトップに立てって遺言されてるのに最後まで劉禅にとって代わらなかったり。美談だけど本当に魏を倒して天下統一したかったらとって代わったほうがいいのにな、と。この2点は昔から疑問だった。
つまりは中国史上最高の頭脳とされている天才軍師でも合理的な思考を貫くことができるわけではないわけで、あくまで人間って感情の生き物なんだな、と勝手に納得して勉強になったなぁ。というわけで★★★★。

『ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義』 ★★★★
藤野 英人 (著)
『ビジネスに役立つ「商売の日本史」講義』読了。最初に「ウミヒコとヤマヒコ」というコンセプトを説明してあるのと文章が平易なので大変わかりやすい。学生の頃に習った日本史とは別の顔。もっとリアリティのある顔を見ることができる。
昔から疑問だったのは江戸幕府がよく出してた倹約令ってなんで武士だけじゃなくて町人まで倹約させられてたのか?という点。武士だけ節約して町人には金使わせて景気よくして税金とったほうが得なのにアホなの?と。武士より身分低いのに武士より良い暮らししちゃダメ、みたいなことなの?と。
これ読んで思ったけど、たぶん年貢米が収入源だったから、なるべく米以外のものが流通しないようにして米の価値を高く維持したかったんだろうなーと思ったけどどうなんでしょう。というわけで★★★★。

『資本主義は江戸で生まれた』
鈴木 浩三 (著)
『資本主義は江戸で生まれた』読了。この本によると武士以外にも倹約を強いたのは、どうも大奥対策とのこと。既に武士は貧しいし大奥くらいしか削れるコストが無かったとか。大奥の女性は江戸で流行っている贅沢をすることだけが生き甲斐だったらしい。
だから大奥の女性からは例えば天保の改革の時は「我々は本来の欲求を我慢しているのだから贅沢して当然」という露骨な反発。そう言われてしまうと何も言い返せんわなー。あと11代将軍家斉に側室40人、子供が54人で、将軍家で養うとお金がかかるから他の大名家に押し付ける。
押し付けられたほうは自分の子供を廃嫡して将軍様の子供を後継ぎにしなくてはならなくなる、女の子の場合もめちゃめちゃ金がかかる、というわけで、これで恨みを買ったのが幕府滅亡の遠因、なんて話も出てきた。将軍様の性欲で江戸幕府自爆か。
基本的には次第に米本位から貨幣本位へ経済が発達していくのに、武士は価格は需要と共有の関係で決まるとか、そういう経済原理なんて全然知らない。だから有名な三大改革は時代が後ろに行くほど効果なし。
そんな中でも時々田沼意次や遠山の金さんみたいな経済に明るい人が出てきて、みたいな話でした。日本独特の官僚と業界の癒着構造は江戸時代に確立された、というのが一番のテーマっぽいですが。

『プレゼンテーションzenデザイン』
ガー・レイノルズ(著), 熊谷 小百合 (翻訳)
『プレゼンテーションzenデザイン』読了。「あーあるある」って話がいろいろ。なんでこの色なの?このフォントなの?このサイズでこの位置に画像貼るの?グラフの使い方おかしくない?
って特に日本にいる頃は他人のプレゼン資料にいちいちイライラすることがけっこうあったけど、きりがないから途中から気にしないようにしてた。とりあえずパワーポイントを使う前にみんなこれを読んだらだいぶ違うんだろうなぁというのは確かに実感。
というわけでパワーポイントやキーノートで資料を作る機会のある人にはベストセラーだった『プレゼンテーションzen』と並んでおすすめ。

『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』 ★★★★★
ティナ・シーリグ (著),高遠 裕子 (翻訳)
12年遅れですが『20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義』読了。「いま、手元に5ドルあります。2時間でできるだけ増やせと言われたら、みなさんはどうしますか?」
5ドルを一週間でいかに増やすか。考える時間が5日間。封筒を開けたら2時間がタイムリミット、で最終日に結果をプレゼン、というルール。ネタバレツイートは後ほどとして、200ページ程度と薄いけど内容はなかなか濃かった。面白い本でした。
いくつか印象的な言葉があったんだけど、もっとも強烈に残ったのは「判断に迷ったときの対処法の一つは、『混乱が収まった後になってどう説明するか』を考えてみることです。」というやつ。
言ってる内容はよくある自己啓発本と同じようなことでも、しっかり印象に残る不思議な本でした。というわけで★★★★★。ネタバレ動画は↓こちら。

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by katzwo | 2011-04-04 23:12 | リーマン読書感想文